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親を施設に入れるのは親不孝?|ケアマネ15年が見てきた「入ったあとの親たち」

親を施設に入れるのは親不孝?ケアマネ15年が見てきた「入ったあとの親たち」 介護

親を施設に入れる罪悪感へ。ケアマネ15年の私が見てきた「入ったあとの親たち」

その方は、入所したその日から、夕方になると「家に帰ります」と繰り返していました。

エレベーターの前から離れず、ずっと張り付いています。80代前半、軽い認知症のある女性でした。大腿骨を骨折して手術を受けたあと、私の勤める施設に入られたのです。

それから1ヶ月後。その方はテーブルにトランプを広げ、七ならべをしながら、私にこう言いました。

「ここに来て本当に良かったです」

満面の笑顔でした。あんなに帰りたいって言ってたのにね。

今日は、施設に入ったあとの親たちの話を書きます。

🌿「家に帰ります」と、毎日エレベーターの前に立っていた

夕方の施設の廊下で、エレベーターの前に立ち窓の外を見つめる高齢の女性の後ろ姿
夕方になると、決まってエレベーターの前に立っていました

もともと穏やかな性格の方でしたから、大声を出すことはありませんでした。それでも夕方になると決まって「家に帰ります」 エレベーターの前に張り付いて、離れません。

ご家族も心配して、まめに面会にいらしていました。けれど帰りたい思いはかえって強くなり、息子さんに「ここの職員がおサイフを盗んだの」と訴えるようになりました。物盗られ妄想です。

夜になると帰宅願望。ご家族には物盗られの訴え。夜も眠れず、たびたび部屋から出てきては廊下を歩いていらっしゃいました。

書いていて、つらい時期だったなと思います。

ただ、私はもうひとつ、別のことも見ていました。

食事の時間になると、その方はきちんと食席につき、同席の利用者さんとお話ししながら召し上がっていたのです。

帰りたいと言いながら、その方の中では、もう何かが少しずつ始まっていました。

🌿薄皮を剥がすように、1ヶ月で

施設のリビングで、高齢の入居者たちがトランプの七ならべをして笑い合う様子
1ヶ月後、テーブルにトランプを広げて「ここに来て本当に良かったです」

そんな毎日ではありましたが、薄皮を剥がすように、その方は少しずつ馴染んでいきました。

1ヶ月経つ頃には、手のかからない優等生です。

お話も穏やかになり、利用者さん同士で会話をしたり、ゲームをしたりするのが大好きになりました。

いつものようにテーブルにトランプを広げ、七ならべをしていたときです。「楽しそうね〜」と声をかけると、こう返ってきました。

「とっても楽しくてトランプも大好き! みんないい人だし〜、ここに来て本当に良かったです〜」

満面の笑顔でした。

あんなに帰りたいって言ってたのにね。

ミリ子
ミリ子

どんなに落ち着かず「家に帰る」と訴える方でも、多くはいずれ落ち着いて、穏やかに過ごせるようになります

もし今、入所したばかりの親御さんのことで眠れずにいる方がいらしたら。この「1ヶ月」という時間を、どうか覚えておいてください。

🌿お正月、一泊で家に帰った日

その後、お正月に一泊で自宅へお泊まりに帰られました。もちろん大喜びです。

息子さんは、とても心配されていました。一泊のあと、施設へ帰らないと言い出すのではないか、と。

けれど私は、日頃のご様子から、多少の帰宅願望はあってもきっと大丈夫だという確信がありました。長年の勘です。行ってもらいました。

翌日、予定より早い時間に施設へ戻られました。嫌がる様子もなく、「ただいま」と笑顔で。

それでも夕方に一度、「帰ります」とおっしゃいました。一度きりの、可愛い訴えでした。

🌿「なんでここに入るんだ」と言った男性と、1時間話したこと

もうお一人、忘れられない方がいます。

肺炎で入院し、車椅子の生活になった男性が、入院先の病院から息子さんご夫婦に付き添われて入所されました。

息子さんは「本人にはきちんと説明してきました」とおっしゃいます。けれどご本人は、家に帰れると思っていらしたのです。

「なんでここに入るんだ! 私は家に帰る! ここには入らない!」

大声は出されません。あくまで、話が違う、こんな話は聞いていない、と、ご自分の気持ちを筋道立てて話される方でした。

一度お部屋へご案内して、お身体のチェックも受けてくださいました。けれど、納得はされていません。「息子と話したい」とおっしゃる。応じないわけにはいきませんでした。

1階の面会スペースで、かれこれ1時間ほど話し合いました。

今のお身体の状況。介護の状況。動けるようになるためにリハビリをすること。そして、元気になったら自宅へ帰ること。納得されるまで、全部お話ししました。

「3ヶ月」という明確な数字での約束に、ご本人が納得されたようでした。

理解できれば、紳士な方です。その後は本当に紳士的に過ごされ、お手伝いをすると必ず「ありがとう」と言ってくださいました。1年ほど入所を続けられ、有料老人ホームへ移られました。

🌿うまくいかなかった方も、いました

きれいな話だけを書くのはフェアではないので、正直に書きます。

15年の間に一件だけ、どうしてもうまくいかなかった方がいらっしゃいました。

入所当初から精神的に不安定な男性でした。お身体はお元気で、職員の安全のために、対応する職員を選ばざるを得ない状況が続いていました。

ある日、施設の敷地内を歩くリハビリから戻り、入口まで来たときです。突然怒り出され、職員に手を上げようとされました。近くにいた職員が止めに入り、大事には至りませんでしたが、その職員は心を病み、休職することになりました。

それまでにも職員に対して暴力的な態度や暴言が続いていた為、施設は事態を重く見て、ご家族に退去をお伝えしました。ご自宅へ戻られ、その後は精神科に入られたと聞いています。

こうした例は、15年で一件だけです。それでも1ヶ月半ほどはなんとか過ごせていたのですから、職員も相当に頑張ってくれていたのだと思います。

ミリ子
ミリ子

15年で一件だけ。でもゼロではありません。だからこそ、施設選びと入ってからの関わりが大事なんです

🌿そして、面会に来るご家族の顔が変わります

施設の面会室で、高齢の母と娘が向かい合って穏やかに笑っている様子
変わっていくのは、親御さんだけではありません

入所をどんなに嫌がっていた方でも、家に帰るとエレベーターの前から離れない方でも、徐々に落ち着いて集団生活に馴染んでいくものです。

そして、変わっていくのは親御さんだけではありません。

面会にいらっしゃるご家族は、皆さん、入所した日の緊張感から解き放たれています。親御さんに優しい笑顔を向けて、毎月必ず面会にいらっしゃる。

きっとご自分の生活も安定して、ゆとりが生まれたのだと思います。だからこそ、優しく接することができるのでしょう。

優しく接してもらった親御さんご本人も、「面会に来てくれてありがとう。また来てね」と、優しい眼差しになっていきます。

——これはあの、入所に納得がいかないと1時間説得したお父様です。

時にはお孫さんも、時には玄孫さんも面会に来られます。お孫さんが成人され、晴れ着を着て面会にいらして、涙されていたご家族もありました。

🌿私も、父を6年介護しました

ここまで、ケアマネジャーとして見てきたことを書いてきました。でも私自身も、家で介護をしてきた一人です。

「60過ぎたらおまけの人生」——父はそう言って笑うような人でした。その父が頚椎を損傷して寝たきりになったのが、ちょうど60歳のとき。そこから6年、自宅で介護しました。介護保険が始まる前から続いた在宅介護です。

母は脳梗塞のあとにうつの症状が出て、少し血圧が高いだけで「救急車を呼んで」と訴える人になりました。

「またか。いったい、いつまで、、、」

そう感じる瞬間を、何度も味わいました。

これがいつまで続くのか。いつかは終わるんだろうか。そう考えたことも、何度もあります。

ですから、「もう無理だ」と感じる夜があることを、私はよく分かっているつもりです。

そして正直に言えば、この6年が、私を介護の仕事へ連れて行きました。訪問入浴もヘルパーも、ケアマネジャーも、はじまりは父です。

父のことは、3回に分けて書いています。60歳から“おまけの人生”と言った父が変わった日【介護の始まり】

🌿罪悪感も、可哀想も、いりません

入所されるまでに、ご家族にはたくさんの介護があり、思いがあり、葛藤があり、感情の積み重ねがあったはずです。

「本当にこれで良かったのか」「もう少し家で頑張れたんじゃないか」——そう考えるのは、ごく自然なことです。

でも現実は、毎日思い通りにいかない。嫌になるほど同じことの繰り返し。これ以上頑張るのは無理だ、という気持ちも本心です。

その気持ちは当たり前のことで、少しも悪いことではありません。むしろ、その気持ちを自分で認めてあげることが大切だと思います。

そして、もうひとつ。

施設に入所することは、可哀想ではありません。

施設は、入所した親御さんとご家族の双方のためにあるものです。お互いがお互いの生活を整えて守るためにある——ケアマネジャーとしての経験の中で、私はそう感じています。

🌿「親戚に顔向けできない」は、考えなくていい

「親戚に顔向けできないから」

「近所の噂になるから」

そんなふうに世間の目を気にする必要は、まったくありません。

今まで介護してきたご自分に自信を持って、ご自分の判断を信じてください。

🌿でも、ひとつだけ。「入所が終わり」ではありません

ここまで読んで、少し気持ちが軽くなった方がいらしたら嬉しいです。そのうえで、ひとつだけお伝えしておきたいことがあります。

入所に至るまでにも様々な手続きがあり、いつ入所できるかも分からないまま、その日を待たなければなりません。そして一番お伝えしたいのは、入所が終わりではないということです。

確かに、入所すれば毎日の介護からは解放されます。ですが——

衣類が足りなくなれば、用意しなければなりません。歯ブラシや入れ歯洗浄剤といった消耗品も同じです。季節ごとの衣類を定期的に確認し、そのすべてに記名する。これが意外と手間のかかるものです。

体調が悪くなって受診が必要になれば、ご家族が平日に病院へ連れて行くことになります。入所したばかりの頃は本人が不穏になり、「家に電話して」「家に帰りたい」という訴えが続いて、施設から電話がかかってくることもあります。

入所したら、もう何もする必要がないというわけではないのです。

📖 まだ施設という段階ではない、けれどデイサービスも嫌がる——という方は、こちらもどうぞ

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🌿あなたの24時間にも、値段がついています

まずは、入所までこぎつけたご自分を褒めてあげてください。

そして施設での生活に慣れて、親御さんが穏やかな気持ちで過ごせるように、環境を整えてあげてください。なるべく定期的に面会に行ってあげてください。

それだけでも、結構大変ですよ。

そのうえで——ご自分のご家族を大切に。ご自分の時間を大切に。ご自分の人生を大切にしてほしいと思います。

親御さんも人生の終盤に差しかかっていますが、私たち子ども世代も、人生の残りを意識する年代です。

1日24時間、1年365日は誰にとっても同じ。けれど動ける体には変化があって、若い頃と同じような時間の経ち方ではありません。仕事終わりにジムや映画に行ったり、パーティーをしたり、夜行バスでスキーに行ったり——もう、同じペースではできません。

それだけに、1日24時間の価値が違ってきていると思うのです。

親の介護も、自分のやりたいことも、100パーセントはできないのが当たり前です。

🌿施設は、お互いを守るためにあります

無理をして家での介護を続けた結果、毎日親に罵倒を浴びせてしまう——そんな現状も、ゼロではありません。

親御さんも、ご家族も、お互いを思いやりながら、それぞれの生活を整えて守っていく。
そのために施設があるのだと、私は思っています。

世間のためではなく、家族の、そして自分自身のための人生を歩んでいきましょう。

ミリ子
ミリ子

施設は逃げ場ではありません。親御さんとご家族、両方の暮らしを守る場所です🌿

📖 施設を探し始めたら、申し込みの手順はこちらに書きました

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📖 では、どんな施設なら安心して任せられるのか。以前、友人の職場を見学させてもらったときのことを書きました

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60歳からの身体・介護・これからの人生を、少しラクに整えていきませんか?

これからも一緒に読む

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※本記事の一部はAIを活用して作成しています。

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