人はどう生きてきたかが最後に現れる

老人保健施設でケアマネジャーとして働き、今日、定年を迎えました。

57歳から7年10ヶ月。
150名の入所者が暮らす施設で、たくさんの人生に触れてきました。

お年寄りは皆さん、それぞれに長い人生を歩んでこられています。
その生き方や人との関わりは、年齢を重ねたときに、思いがけない形で現れてくるものだと感じています。

今日は、そんな中でも私の心に残っている一人の女性のことを書いてみたいと思います。

老人保健施設という場所

私が勤務していたのは介護老人保健施設、いわゆる「老健」です。

老健は本来、病院での治療が終わった方が自宅へ戻るためにリハビリをする施設として作られました。
入所されている方は要介護認定を受けた高齢者で、医師、看護師、介護士、リハビリ職、栄養士など多職種が関わりながら生活を支えています。

施設ケアマネは利用者様の生活全体を見ながら、支援の方向性を考える役割です。

居宅ケアマネと違い、施設では利用者様が毎日目の前にいます。
体調の変化や日々の様子を、医師や看護師、介護士とその場で共有できるのは施設ならではの環境でした。

施設ケアマネの仕事

私のデスクは事務所ではなく、各フロアにありました。

そのためケアマネ業務だけではなく、
食事の配膳や介助、入浴後のドライヤー、排泄介助など、介護の手伝いをすることもあります。

忙しい日は午前中が介護のサポートで終わってしまうこともありました。

それでも、利用者様とトランプをしたり、ジェンガや輪投げを楽しんだりする時間が私は好きでした。

冬の朝、屋上に上がると富士山がとてもきれいに見える日があります。

そんな日には利用者様を誘って屋上へ行き、
寒いねと言いながら雪をかぶった富士山を眺める。
「今日はよく見えるね」

そんな何気ない時間も、私にとっては大切な思い出です。

忘れられない女性

そんな施設に、ある日70代の女性が入所されてきました。

草むしりをしている最中に脳梗塞を発症し、救急搬送。
左麻痺ですが重い言語障害が残りました。

病院での治療を終え、私たちの施設へ来られたときは、
リクライニング式の車椅子が必要な状態でした。

ところが入所してしばらくすると、
毎日のように面会者が来るようになりました。

「ご家族ですか?」

そう聞くと、

「カラオケ仲間なんです」
「シルバーで一緒に働いてたんです」

友人や仲間が、次々とお見舞いに来てくれるのです。



ほぼ毎日のように、誰かが彼女を訪ねてきました。

すると彼女はみるみる元気になっていきました。

言葉ははっきり出ませんが、
持ち前の明るさで一生懸命気持ちを伝えています。

周りの方もそれを受け止めて、
笑いながら会話が続いていました。

彼の存在

その中でも、特によく来る男性がいました。

後から分かったのですが、
その方は彼女の恋人でした。

彼が来ると、彼女は特別な笑顔になります。

二人で過ごす時間はとても穏やかで、
周りまで温かい空気に包まれるようでした。

そして少しずつ彼女の体調も変わっていきました。

リクライニング車椅子から普通の車椅子へ。
食事もほとんど自分で食べられるようになりました。

何より、
彼女はいつも前向きでした。

どんな状況でも、
気持ちを腐らせることがありませんでした。

私が考えたこと

そんな彼女を見ながら、私はふと思いました。

もし今、
私が彼女と同じ障害を負ったら——

いったい何人の友人が
お見舞いに来てくれるだろうか。

どう考えても、
彼女のようにたくさんの人が来てくれるとは思えませんでした。

50代でも、60代でも、
人はいつ何が起こるか分かりません。

どんな人と出会い、
どんな関係を築いてきたのか。

その人の生き方は、
年を重ねたときに静かに現れてくるのだと思いました。

人生の証

彼女はその後、特別養護老人ホームへの入所が決まり、施設を退所されました。

これまでたくさんの方と出会ってきましたが、
私は強く感じています。

認知症があっても、
病気があっても、

大切なのは
それまでの人生をどう生きてきたのか。

その生きた証は、
きっとどこかに現れるのだと思います。

だからこそ私は、
これからの人生を大切に生きたいと思っています。

これからの私

65歳で退職しました。

頑張ればまだ働ける年齢かもしれません。

でも私は、
これからの人生を生き生きと楽しんで生きていきたいと思っています。

身体を整え、
人とのつながりを大切にしながら。

このブログも
私の人生の一ページです。

楽しみながら続けていきたいと思います。

最後までお読みくださり、
ありがとうございました。

🌸次回は退職の日。最後の1日についてお話ししたいと思います🌸

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