「DIE WITH ZERO」——タイトルだけを見ると、お金をゼロにして死ぬ方法の本だと思いませんか。
私も、そう思っていました。
でも聴き終えて感じたのは、まったく別のことでした。
お金を貯める事が目的ではない。人生を豊かにする事を目的にしたい
筆者が伝えたいのは、たぶんここなのだと思います。
ずっと気になっていた本でした。以前Audibleで「ながら読書」を始めた話を書いたとき、「やっぱりDIE WITH ZEROを課金してでも読みたい」と書きました。その続きのお話です。
🌿いちばん刺さったのは、この一行でした
人は、いつもの日常がこれからも続くと考えている
衝撃でした。かくいう私も、同じように考えていたからです。
でも、明日何が起きるかは分かりません。そして、私に残された人生はそう長くはないのだと知りました。
それは高齢だからではありません。若くても、人生の中で「今」は今しかない。今日は今日だけなんですよね。この当たり前の事実を意識して生活している人は、どのくらいいるのでしょうか。
——そして気がつきました。この一行を、私は仕事でも、自分の身体でも、何度も見てきたのです。
奥様を介護しながら「大丈夫」と言い続けたご主人。この日常が続くと思っていらっしゃいました。(在宅介護の限界サインは「大丈夫」でした)
自分の左腕が痺れるまで、「私は大丈夫」と思っていた私自身も同じです。
🌿Aさん|「家の現金が心配」と言い続けた方
私が働いていた老人保健施設では、充分な資産をお持ちの方と、年金だけで貯蓄のほとんどない方に、二分されていたように感じます。具体的な資産は分かりません。ご本人の言葉やご家族の様子から見てきたことを、お話しします。
Aさんは90代。お一人暮らしでしたが、転倒で入院し、そのまま入所されました。お子さんはなく、親族の方が金銭管理も任されていました。
歩行器で歩けていましたし、会話も問題なくできる方です。年齢なりの認知症はありました。
入所して数か月経った頃、ご本人から申し出がありました。
家にまとまった現金があるの。あの人には言っていないけど、家には戻れないと思うから、今のうちに話しておきたいの
ケアマネの立場で、生々しいお話に驚きました。そういえば最近、面会が途絶えていた親族の方に連絡を入れてみることにしました。
「ご本人がお金の心配をされています」とだけお伝えすると、週末に面会に来てくださいました。
Aさんはとても喜んで、日常のこと、親族の方のことを聞きながら、始終笑顔でした。
面会のあと、その方に伺うと、お金の話は出なかったとのこと。私が聞いた心配をお伝えすると、こう言って笑っていらっしゃいました。
ああ、それは最初に聞いていて知っています。そんなに残ってませんけど
心配していたのは、最後までご本人だけだったのです。
高齢になると、ちょっと転んだだけで骨折したり、立てなくなったりします。特にお一人暮らしの方は、それで自宅に戻れなくなることが少なくありません。Aさんは、何かあったときのためにコツコツと貯めてこられたのだと思います。
昭和の初めに生まれ、戦争も経験された方です。「今」に使うより将来に備えることが優先されるのは、必然なのだと思います。
Aさんが満足した時間を過ごせたかどうかは、私には分かりません。ただ、何かというと文句をおっしゃって、利用者さん同士でもトラブルが多かったこと。この本を聴いて、そんなことも関係していたのかもしれないな、と感じました。
その後Aさんは肺炎になり、入院されました。

🌿Bさん|「ありがとう、ありがとう」と言う方
同じ90代の、もう一人の方です。
ご自分で築いた資産で暮らしてこられた方で、施設では個室を使い、わりと自由に過ごされていました。
お元気な頃から健康に気を使い、食事も体操もストレッチも詳しくて、ご自分の持論でセルフケアをされていました。リハビリ職員から見ると「どうかな?」というケアもあったようですが、危険のない範囲で自由にしていただきました。
施設の食事もよく味わって、味付けや調理方法に感心したり、ご自分の知識を話してくださったり。自宅ではやりたいことにお金を使いながら、経験を積み、知識を積み上げてこられた——そんな様子がよく分かる方でした。
それでいて、施設に持ち込んだ衣類や生活用品は、特別に高価なものではありません。あるものを修復して使ったりもされる、倹約家な面もありました。
ご家族は「あれこれ我儘ですみません」とおっしゃいながら、なるべくご本人の希望に沿った対応をされていました。
自己流を通すなかなか強い面もあり、「これがこうだからとても良かった」「この時は本当はこうしたかった」と、よく話してくださいました。そして最後には必ず——
ありがとう、ありがとう
忘れっぽいところはありましたが、90代と考えるととてもお元気で、施設でもやりたいことを諦めませんでした。
それはきっと、お金をただ貯めておくだけではなく、使う時に、使いたいことに使ってきた生活があったからだと思います。

「将来のための貯金」と、「今の自分のため・将来の自分のために使う力」。どちらも大切なんだなと、この本を聴いて感じました。
🌿使い切って生きた人を、私は見たことがありません
正直にお話しします。
15年、150名規模の施設でケアマネジャーをしてきて、「使い切るように生きていた」と感じる利用者様は、思い当たりません。
昭和初期に生まれた方は、贅沢をせず、家族のために尽くしてこられた方が多い印象です。
一方で、60代で脳梗塞を起こして入所された若い世代の方の中には、お金の使い方が乱暴で、入所してからも親御さんが関わっていらした方もありました。
ですから、「使い切ること」自体が目的ではないのだと思います。今の生活にお金を使うことも大切ですが、その前に、暮らしを守るお金は必要です。
——と、ここまで書いて、気がつきました。
🌿いえ、ひとりだけ、いました
私の父です。
父は自由な人でした。バブルの頃は羽振りもよく、高級なお寿司やフグを食べ、週末は後楽園で馬券を買って一日を過ごす。高校野球が始まると会社に行かず、テレビの前から動かずに、昼間からビールを飲んでいました。
それでも会社は回っていましたし、仕事場ではなぜか信頼もあって、困ったときは周りがフォローして事なきを得る。娘から見ても、そういう人でした。
その父が、酔って駅のホームから転落し、頚椎を損傷して寝たきりになったのが60歳のときです。(父の話は3回に分けて書いています)
前の日まで、いつもの生活を送っていました。父は、自分が寝たきりになるとは夢にも思っていなかったはずです。
父の口ぐせは「60過ぎたらおまけの人生」。障害を負う前から、いつも言っていました。
寝たきりになってからの6年間、身体の自由が効かないことについて、父が愚痴やマイナスな発言をするのを、私は聞いたことがありません。
「おまけの人生だから、諦めたのかな?」
長いあいだ、そう思っていました。でも、この本を聴いて分かりました。
父は、おまけの人生になる前に、充分に自由な時間を過ごしていたのです。
高級なお寿司も、フグも、馬券も、昼間のビールも。ぜんぶ、先に済ませていた。
DIE WITH ZEROは、「経験には賞味期限がある。思い出は、あとから配当を生む」という本です。
父は、本を読まずにそれをやっていました。
🌿「生きるとは借りを作ること」
父の名言は、もうひとつあります。
生きるとは借りを作ること。生きていくという事は、その借りを返すこと
60歳で寝たきりになってから、父は家族の一員に帰ってきました。そう、借りを返しに戻ってきたように。
生きていた時間は短かったけれど、長年会社を経営しながら、やりたいことを諦めず、仲間に恵まれて——父は充分に、生ききったのだと思います。
🌿だから私は、タイムバケットを書きました
この本では「タイムバケット」——人生でやりたいことを書き出すリストが勧められています。お金のことは考えずに、思いつくまま書き出してみました。
- 晴天の日に、富士山を眺めながらハンググライダー体験
- 北海道でスカイダイビング
- 弘前城の満開の桜をみる
- 低登山を楽しむ
- クロールで50m泳げるようになる
- ロールアップと開脚ができるようになる
- バドミントンのダブルスで、若いお仲間についていけるくらい上達する
- 長期の旅行を楽しむ
- 毎年2回、旅行する
- オーロラを観る
- ブログで多くの仲間と繋がる(できれば収益も目標に)
🌸ちなみにスカイダイビングは、栃木県の藤岡で2回、経験しました。今度は、北海道の空から跳んでみたいんです。
ちょっと頑張ればできそうなことも、難しそうなこともあります。
🌿晴天の日だけは、譲れませんでした
いちばん上のハンググライダーは、3月までに実現したいことでした。
この体験でいちばん大事なのは、「晴天の日」であることです。天気が悪ければ、富士山は見えませんから。

最初は、いろいろな方に声をかけて仲間を探していました。でも、誰かと一緒ということは、その方とスケジュールを合わせなければなりません。そうすると、その日が必ず良い天気になるとは限らない。
私の中で、良い天気だけはどうしても譲れない条件でした。
そこで決めました。
自分のスケジュールと天気を見ながら、「ここだ!」という日に、一人で行こう。
体験できる場所も、もうリサーチ済みです。夏よりも、秋から冬、春先くらいが狙い目だそうですよ。
誰かを待つのをやめた日から、この「やりたいこと」は予定に変わりました。
🌿やりたいことには、健康な身体が要る
書き出してみて、気がついたことがあります。
どれを実現するにも、まず健康な身体が必要だということです。
水泳は今お休み中ですが、開脚前屈とロールアップは、実現に向けて毎日エクササイズしています。身体の硬い私は何年もかかりそうです(笑)。できる日を楽しみに、マシンピラティスにも通い出しました。
退職した3月からは、バドミントンも始めました。ダブルスのルールをしっかり身につけて、若いお仲間についていけるくらいに上達したい。とっても楽しいので、細く長く続けたいと思っています。
📖 「私は大丈夫」と思っていた私の身体が、教えてくれたことです

🌸おわりに|今日は、今日だけ
DIE WITH ZEROは、「お金をゼロにして死ぬ方法」の本ではありませんでした。
死を目前にしたときに、人生に満足できるか、後悔があるか。そこに現れることなのだと思います。
Aさんが最後まで心配していた現金。Bさんの「ありがとう、ありがとう」。父の「おまけの人生」。
ぜんぶ、同じことを教えてくれていた気がします。

今日は、今日だけ。明日何が起きるかは、誰にも分かりませんからね。
あなたのタイムバケットには、何が入るでしょうか。
📖 耳で聴く読書については、こちらに書いています

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📚 ミリ子が聴いた本

DIE WITH ZERO
人生が豊かになりすぎる究極のルール
著:ビル・パーキンス
お金をゼロにして死ぬ方法の本ではありません。「お金を貯めることが目的ではない、人生を豊かにすることを目的にしたい」——そう教えてくれた一冊です。私はAudibleで聴きました。難しい本ではないので、家事をしながらでもすっと入ってきます。
🛒 Amazonで詳しく見る※事例は、個人が特定されないよう内容を一部変えています。
🌸ここまで読んでくださってありがとうございます。
感じたことやご経験があれば、一番下のコメント欄から一言いただけたら嬉しいです🌸
※本記事の一部はAIを活用して作成しています。

コメント
私も人生後半戦、ずっと今が続いていくのではないんだと思うようになったのは、近い身内が亡くなってからでした。人生の終わりは必ずくるのだと思い知ったからです。あの時こうすればよかったと思ってももうそこには戻れない。ならばなるべく後悔がないように。旅行が好きなので白地図に行ったところを塗っています。